売買ルールを作る

前回の記事で、日本の現物株市場は日中は陽線より陰線の割合の方が高く、
逆に夜間は上がる(前日終値より当日始値が高い)ことの方が多い、
という検証結果を紹介しました。

また、前々回の記事では「ダウ逆張り手法」の有効性を検証し、
近年は優位性が薄れてきているようだが、
まったくないわけではなさそうという結果をお見せしました。

となれば、せっかくなのでこれらの優位性を活かした
売買ルールが作れないか検証してみました。

 

具体的には、前日(当日朝)のNYダウ終値が前日より安ければ
買いで仕掛け、翌日の寄付で手仕舞いします。

逆に前日(当日朝)のNYダウ終値が前日より高ければ
売りで仕掛け、当日の大引で手仕舞いします。

 

ただ、これだけの条件では期待値が低すぎますし、
そもそも取引対象となる銘柄が多過ぎて
売買ルールとして成り立ちませんので、
何か別のコンセプトで作ったルールの補強として使います。

 

今回は逆張り系のルールをベースとして作っていきます。

今回も検証に使ったソフトはこちら

 

〇基本設定
検証期間 2000年1月~2015年11月
対象銘柄 東証1部、2部、JASDAQ、マザーズ全銘柄
    (ただし、売りは貸借銘柄のみ)
終値が100円以上
売買代金10日平均が1億円以上

〇買いルール
・前日(当日朝)のNYダウ前日比率が0より小さい
・年続下落日数が4日以上7日以内
・10日移動平均乖離率が-10より小さい
・前日終値で寄付指値買い
・翌日寄付で成行売り
直近数日間で大きく下げている銘柄の反発を狙います。
ただあまりにも長く下げ続けている銘柄は
何か問題ありと考え除外しています。

〇売りルール
・前日(当日朝)のNYダウ前日比率が0より大きい
・寄引値幅率(始値と終値の増減率)が7より大きい
・10日移動平均乖離率が7より大きい
 または、10日移動平均乖離率が0より小さく-10より大きい
・前日終値で寄付指値売り
・当日大引で成行買い
基本的には逆張りですが、狙う位置は二つあります。
大きく上に乖離している銘柄の反落を狙うのと、
逆に下げている銘柄の戻り高値を狙っています。
ただし、下げ過ぎると反発の力が強くなるので除外します。

〇資金設定
・総資金:300万円
・レバレッジ:2倍
・1銘柄投入額:30万円
・手数料:往復1000円
・仕掛けの優先順位:売買代金降順

 

結果です。(売り買い合計)
sample_a_01

sample_a_02

2007年まではかなりイケてる売買ルールなんですけどね・・・

 

が、ここでもう少し悪あがきをしてみます。
以前の記事で紹介したフィルターを使ってみます。
・曜日のアノマリー検証
・続・曜日のアノマリー検証

実は買いも売りも特定の曜日だけ極端に期待値が低いのです。
他の曜日は全て期待値プラスなのですが、
その曜日だけ期待値マイナスなので、
フィルターをかけてはずしてみます。

すると・・・
sample_b_01

sample_b_02

曜日フィルター、あなどれませんね。

 

もう少しいろいろ試してみたら、改善の余地はあるかもしれませんが、
システムトレードには常に過剰最適化という課題が付きまといます。

とはいえ、どこまでが最適化で、
どこからが過剰最適化なのか、
という明確な基準なんてないので、
どこまで作り込むかは好みかもしれませんね。

結局、うまくいくかどうかは
実際にやってみなければ分からないので、
自分が納得できるものであればそれでよいと思います。

 

今回、売買ルールのサンプルを紹介しましたが、
これが機能するかなんて正直わかりません。

ですが、我々トレーダーは、不確実で何の保証もない戦いに
覚悟を決め、リスクをとって挑んでいく必要があります。

売買ルールはそのための武器ですから、
自分が理解でき、納得できて、覚悟が決まるものを
自分で作って(選んで)行きましょう。

2 Responses to “売買ルールを作る”

  1. 秋蔵 より:

     Marikuさん、初めまして秋蔵と申します。色んな検証結果を掲載されておられて興味深く、とても参考になります。曜日フィルターはかなり強力ですね、自分の戦略にも追加してみたい機能です。
     さて、今回は買い・売りの戦略との事ですが、「前日終値で寄付き指値の仕掛け」はイザナミ上の検証結果と実際のトレードとのズレを確認した方が良いと思います。前日終値と寄付きが同値の場合の扱いがイザナミ上では全約定扱いなのに対して、実際のトレードでは不出来や内出来という事が多発します。実は私もつい先日までこの「前日終値で寄付き指値の仕掛け」を使っていて、このズレを確認してみたところ2000年以降の約16年間で400回以上のズレが確認されました。どの程度の頻度でこういうパターンが発生するかは戦略にも依るとは思いますが私の該当戦略もNYダウ逆張りを利用する戦略なので近い結果なのではと推測します。

    • Mariku より:

      秋蔵さま
      コメントありがとうございます。
      確かに寄指については、ご指摘のとおりの課題がありますね。
      今回紹介したサンプルルールでも、トリガーとしている終値と翌日の始値が同値のケースが600回近くありました。
      取引回数が5700回程度ですから10%程度約定していない可能性があることになります。
      今回のケースでは、仮に全て約定しなかったとすると、100万円ほど利益が少なくなるようです。
      寄指であれ、逆指値であれ、検証とリアルトレードが一致することはないでしょうが、影響度合いを調べておくことは重要ですね。
      貴重なご意見、ありがとうございました。

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