簡単なトレンドフィルターの検証
前々回と前回では、曜日のアノマリーを検証し、
曜日をフィルターとして使えるかも、という記事を書きました。
今回は、フィルターの王道(?)として、
トレンドフィルターの使用例を書いてみます。
一口にトレンドフィルターと言っても、いろいろな方法があります。
特に株式市場の場合ですと、
売買対象とする個別銘柄自体のトレンドを判定する方法だけでなく、
上場銘柄全体で判定する方法(高値ブレイクしている銘柄の数など)や、
株価指数(日経平均やTOPIXなど)を使った判定方法など、
やり方は多岐に渡ります。
今回はサンプルとして、2本の移動平均線からの乖離率を使った
逆張り買いルールでの使用例を紹介します。
ルール自体はありふれたもので、パラメータも適当に作っています。
基本条件
・対象期間:2000年1月~2015年9月中旬
・対象銘柄:東証1部、2部、ジャスダック、マザーズ上場全銘柄
・終値が100円より大きい(低位株を排除)
・売買代金の3日平均が1億円以上(流動性の低い銘柄を排除)
・手数料:往復500円
・資金設定:資金300万円を10銘柄に分散
まずは、フィルターなしで。
銘柄抽出条件として、
・5日移動平均乖離率が-5より小さい
・15日移動平均乖離率が-15より小さい
エントリーのトリガーは、
・前日終値で寄付指値買い
・5日移動平均乖離率の小さい順に仕掛け
・エントリーした日の翌日寄付きで全て手仕舞いです。
期間の異なる2つの移動平均乖離率を使った
典型的な逆張りルールですね。
結果は・・・
ありゃ、破産しちゃってますね。
上昇相場だった2005年まではまだよかったんですけどね。
では、このルールに加えるトレンドフィルターを考えます。
このルールのコンセプトとしては、
価格が行き過ぎたことによる修正を狙っているわけですが、
最も恐ろしいのは、修正の動きが起こらず、
そのまま底ぬけてしまうことですね。
一時的な急落から反発しやすいのはどんな銘柄かと考えれば、
やはり、中長期的には上がっている銘柄の方が、
元の方向への動きに戻りやすいのではないでしょうか。
ということで、
銘柄抽出条件として、
次の項目を加えます。
・終値が150日移動平均より大きい
・150日移動平均が150日移動平均(10日前)より大きい
これ以外は元のままとします。
結果は・・・
たいした成績ではありませんが、
破産はせずに、一応右肩上がりになっています。
リーマンショック(2008年)もほぼフラットで切り抜けています。
この期間は下落トレンドの銘柄が圧倒的に多いので、
フィルターによって仕掛けが激減しているからです。
ただ、当然ながら、仕掛ける回数が減るということは、
利益率を犠牲にする可能性もあるということです。
今回はたまたま破産回避という結果にはなりましたが、
場合によっては資産曲線を滑らかにする代わりに、
利益自体は減少するということもあります。
この辺はトレードオフですので、あとはもう好みの問題です。
ちなみに、今回の検証ももちろん
こちらのソフトを使用しております。(一応)
⇒システムトレードソフトの紹介