勝ち易きに勝つ
『善く戦う者は勝ち易きに勝つ者なり。
故に善く戦う者は勝つや、智名なし、勇攻なし。』
「孫子」第四章:軍形篇に出てくる一節です。
意味としてはだいたい次のようになります。
「名将は、勝ちやすい機会をとらえて無理なく勝利する。
そのため、本当の名将はその智謀が人目につくこともないし、
勇敢さを人から称賛されることもない。」
これをちょっとアレンジしてみます。
「名トレーダーは、自分が勝ちやすい機会でのみトレードする。
相場の大底や天井を狙って大きく賭けるような派手なことはせず、
相場の中にある優位性をとらえて、無理なく勝利する。
そのため、本当の名トレーダーは、その活躍がマスコミなどで
とりあげられることもないし、実力を人から称賛されることもなく、
何か秘密の手法や情報を得ているに違いないと疑われる。」
我ながらなかなかいい翻訳だと思うのですが・・・
孫子は約2500年前の中国の春秋時代に書かれた兵法書ですね。
呉王に仕えた孫武が記したものとされています。
大昔の兵法書でありながら、
現在のビジネスにも通じるものがあるとして、
解説本もよく出ているようです。
実際、読んでみるとビジネスのみならず、
トレードにも当てはまることが多いと感じています。
戦争、ビジネス、トレードと
共通性がなさそうに見えますが、
少なくとも一つ、大きな共通点があると思っています。
それは「不確実性」
戦争もビジネスもトレードも
全ての事象を把握することはできないし、
どんなに知恵を巡らせても、準備を周到にしても、
うまくいくかどうかは分からない。
まさに不確実な世界です。
孫子がビジネスやトレードに通じる部分があるのは、
孫武が意図したことかどうかは知りませんが、
不確実性にどう対処するべきかについて
書かれているからなのでは、と思っています。