含み益と含み損
「含み益はすぐなくなるのに、
なぜ含み損は増えるのですか?
かなりの確率でこうなります。」
またまたネット上で見かけた質問です。
けっこう面白い質問だなぁと思ったので
ちょっとその原因を考えてみようと思います。
話をなるべく簡単にするため、
すべて買いのエントリーで考えます。
まず、どんな戦略を取っているか、
という視点から考えてみます。
①完全にランダムでエントリーした場合
この場合は、確率1/2ですね。
含み益がなくなって含み損が多くなる、
というのは心理的な問題になるかと思います。
普通に考えて、含み益は大きくなってほしいと思い、
含み損は小さくなってほしい(できればなくなってほしい)
と思っているわけですから、
思惑と逆に行ってしまった場合の印象の方が
強く心に残っている、という可能性が考えられますね。
②トレンドフォロー系の場合
典型的なトレンドフォロー戦略の場合、
勝率自体が30%~40%程度と低いため、
単純に含み益になる確率が低い、と考えられます。
含み損は抱えずにすぐに切るのがこの戦略の肝ですので、
含み損が増えるのは、きっちり損切りできていない、
ということになります。
③短期のブレイクアウト戦略の場合
保ち合いからの離れを狙って、
期間高値のブレイクで仕掛けるような戦略の場合、
仕掛けてすぐは含み益になる可能性が高いですが、
いわゆるダマシに合ってすぐに下落したり、
しばらくは上昇したとしても、勢いが低下した後
急落したりすることがよくあります。
含み益はすぐなくなるのに、含み損は増えるという
典型的な流れになりますね。
この場合は、戦略の優位性が存在している時間内に
撤退できていない、ということが原因ですね。
④カウンタートレード(逆張り戦略)の場合
急落からの反発を狙うような戦略の場合、
行き過ぎた価格が反対方向へ戻す確率は高いとはいえ、
タイミングをピッタリ合わせるのは困難です。
下落中に仕掛けた場合は、
最初含み損になる可能性が高いわけで、
仕掛けが早すぎたりすると、
含み損が増え続ける、という事態になるわけですね。
他にも例はあると思いますが、切りがなくなりそうなので
このへんにしておきます。
次に、メンタル的な視点で考えてみます。
まず、含み益はすぐになくなる、ですが、
すぐに利確してしまう、ということもあるのかもしれません。
人は利益に関してはリスク回避性が強くなるという、
プロスペクト理論ですね。
反面、損失回避についてはリスク愛好型になる傾向が強いので、
含み損については回復を期待していつまでも抱えてしまう、
というわけですね。
結局、冒頭の質問に対する回答としては、
人がもともと持っている性質からして
そうなる傾向があるうえ、
トレード戦略に対する理解が足りないと
ますますそう感じることになる。
こんな感じになるのかなぁと思います。