学びて時に之を習う
前回の記事で、知識と経験はセットになって意味がある、
というような内容のことを書かせていただきました。
今回はその話をもう少し深掘りしてみようと思います。
論語(孔子の教えを弟子がまとめたもの)に
次のような言葉があります。
『子(し)曰(い)わく、学びて時に之(これ)を習う、
亦(また)説(よろこ)ばしからずや。』
おそらくお聞きになったことがあるかと思います。
意味はどういうことかといいますと、
だいたい次のように訳されることが多いです。
「学んだことを、時に応じて復習し、理解を深める、
これもまた楽しいことではないか。」
「習う」を「復習する」と解釈しているのですが、
これには別の解釈もあるんです。
「学んだことを、機会があるごとに実践し、理解を深める、
これもまた楽しいことではないか。」
「習う」を「実践する」と解釈しています。
おそらく両方の意味が込められているのだと思いますが、
学んで実践する、すなわち、知識を得て経験してみる、
ということの重要性は紀元前から言われているわけですね。
現代風に言い換えれば
知識 → 経験
インプット → アウトプット
という感じになるでしょうか。
勉強とか学習とかって聞くと、
インプットを思い浮かべることが多いかと思いますが、
実は重要なのはアウトプットの方だったりします。
いくら頑張って知識を詰め込んでみても、
実践しなかったらただの自己満足で終わってしまいます。
「自分、賢くなったかも。」
(それで・・・?)
そして詰め込んだ知識も、
実践してみなければ定着せず、
やがて記憶の彼方へいってしまいます。
なので、もし何か身につけたいスキルなどがあるとして、
万が一、それがうまくいっていないのであれば、
インプットとアウトプットの配分を見直してみるのも
一考かと思います。
これはトレードに限った話ではありませんが、
トレードに関して言えば、
例えば、移動平均線について学んでみたとします。
さすがに移動平均線を使って即トレード、
というのは危険ですが、
デモトレードをしてみるなり、
移動平均線を使った売買ルールを検証してみるなり、
あるいはチャート上に表示させて
その動き、特徴を見てみるというのもありでしょう。
とにかく学んだことのうち何か一つでもやってみる。
その結果はどうであれ、その後もう一度インプットしてみると、
「あぁ、これはあのことをいっているのか。」
まったくもって理解度が違ってきます。
結局、成長するということは、
インプット → アウトプット の繰り返し、
知識 → 経験 の積み重ねでしかありません。
トレーダーは自己の責任において
金銭的リスクを負い、戦っているわけですから、
勝つためには自分が成長するしかありません。
そこに秘密の手法もなければインサイダー情報もありません。
『学びて時に之を習う、亦説ばしからずや。』
至言ですね。