ファンダメンタル分析に基づく投資法①
ファンダメンタル分析とは、景気や物価、
金利、雇用といった経済の様々な要素が
相場にどのような影響を及ぼすかを予測する、
というものです。
もっとも、株式投資においては、
諸々の経済指標も無視はできませんが、
どちらかといえば個々の企業の業績に注目し、
投資判断を行います。
ファンダメンタル分析に基づいた投資の場合、
考え方はいろいろとあるのですが、
割とスタンダードな方法を紹介します。
まずは企業の保有する資産に注目する方法です。
企業が持っている土地の価値や、
現金そのものがいくらあるのか、
そしてそれが市場での評価(つまり株価)と比較して
割高か割安かを見ます。
例えば、X社の発行済株数が100,000株で
株価が1,000円だったとします。
この場合、X社の時価総額
(発行済株数×株価)は1億円ですね。
つまりX社は市場では
1億円の評価を受けているわけです。
このとき、X社が土地や現金などの資産を
3億円持っていたとしたら?
市場の評価額の3倍ありますね。
ただし、借入金などの負債があるので、
それを差し引かないといけません。
ここでは仮に1億円の負債があるものとします。
そうすると資産から負債を引いた正味財産
(純資産)は2億円となりますね。
それでも市場の評価額の2倍です。
つまり、このX社株を100株買うとした場合、
理論上は、10万円(1,000円×100株)で
20万円(2億円÷10万株×100株)の
価値を手に入れるということになります。
もっとも、実際には必ずしも
価値に見合う価格になるとは限りませんし、
なるとしてもいつなるかは誰にも分かりません。
もしかしたら株を保有している間に、
X社の保有する土地の価格が
下落してしまう可能性だってあります。
資産価値からアプローチする方法は
論理的で分かりやすいのですが、
価値が評価される前に企業が倒れてしまっては
元も子もないので
事業の継続性、安定性といった面を
見ておかなければいけません。
また、資産価値そのものについても、
企業の財務諸表が必ずしも真実とは限りません。
(粉飾とかいう意味ではなく、
例えば広大な土地を持っていたとしても
利用価値のある土地でなければ
市場は評価しないでしょう。)
そのため、表面的な資産価値だけではなく、
中身も考慮する必要があります。
◆PBRについて
資産価値で投資する際によく使う指標に
PBRというものがあります。
日本語では「株価純資産倍率」と言って、
企業の純資産に対して
株価が割高か割安かを見るときに使います。
先ほどのX社での例で考えてみます。
A X社の株価1,000円
B Ⅹ社の1株当たり純資産2,000円(2億円÷10万株)
A/B = 0.5 ←PBR
X社のPBRは0.5と出ました。
一般的にPBRは低ければ低いほど割安となりますが、
あまりにも低い場合は、
何か問題を抱えていることが懸念されます。
(企業の事業継続性に疑義があり、
株価がそれをすでに織り込んでいる場合など)
なお、このようにPBRのような指標を使い、
企業の本来(と考えられる)価値と
株価の乖離を見て投資する手法は
バリュー投資と呼ばれています。
このバリュー投資には、2種類ありまして、
今回紹介した方法は資産に注目したものでしたが、
もう一つ、収益に着目したバリュー投資があります。
だいぶ長くなりましたので、
収益バリュー投資については別記事で紹介します。