ファンダメンタル分析に基づく投資法②
今回はファンダメンタル分析に基づいた投資法で
企業の収益に着目した方法を紹介します。
企業の資産価値に着目したバリュー投資、
言ってみれば資産バリュー投資について紹介しました。
今回は、言わば収益バリュー投資という方法です。
今回もⅩ社に登場してもらいましょう。
条件は資産バリューの時と同じで考えてみます。
X社の発行済株数が100,000株で株価が1,000円です。
この場合、X社の時価総額(発行済株数×株価)は1億円です。
このときのX社の資産は土地や現金など3億円、
借入金などの負債が1億円として、
資産から負債を引いた正味財産(純資産)が2億円です。
この段階では市場の評価額の2倍です。
さて、この後市場がX社の持つ資産価値に反応し、
株価が上昇し始めたとします。
その結果、直近の終値で2,000円まで上がっています。
時価総額で2億円ですので、純資産額とイコールになりました。
X社の株はもう割安とは言えないのでしょうか?
確かに資産価値で見れば割安感はなくなってきていますが、
割高割安を見る視点は資産価値だけとは限りません。
そう、もちろん収益ですね。
X社がどれだけ収益を生み出す力を持っているのか、
という視点から分析してみます。
X社が1年間に5,000万円の利益を出せるとして考えてみます。
このX社株を100株買うとした場合、20万円(2,000円×100株)の投資額ですね。
この100株が1年間にどれだけの利益を生み出してくれるでしょうか?
まず、X社の年間利益から1株当たりの利益を出してみます。
(この1株当たり利益のことをEPSと言います。)
X社の年間利益5,000万円÷100,000株=500円
そしてそれに持ち株数をかけます。
500円×100株=5万円
つまり、20万円投資して年間5万円の利益ですから、
4年で元が取れるという理屈になります。
もっともこれは実際にあなたのふところに入る訳ではありません。
通常は、この利益のうち何割かを配当として直接株主に還元し、
残りは企業の内部に留保して再投資の財源に充てる、
というケースが多いです。
ただ、理論上は企業の利益は株主のものであるため、
上記のように20万円の投資が4年で元が取れる、という計算になります。
これは投資としてはかなりのハイリターンですから、
X社の株は割安である、と見ることもできるわけです。
なお、この何年で元が取れるかというものがPERと呼ばれる指標です。
計算式としては、株価÷EPSとなります。
一応X社のケースに当てはめてみます。
株価2,000円 ÷ EPS500円 = 4
PERが低い方が割安であるといのはすぐ分かると思いますが、
ではいくつ以下ならいいのか?という問いに答えはありません。
なぜなら、PERは市場が上昇ムードにあるときは
全体的に高くなりますし、業種によっても傾向が違います。
ただ、あまりに低い企業は、何か問題を抱えている可能性がある、
ということはPBRと同様です。
X社のPERは4であり、かなり割安な部類に入ると思いますが、
理論上は4年で元が取れるといっても
その理論は今のX社の利益から成り立っており、
4年後どうなっているかは分かりません。
そのため、単純にPERが低いからといって
即投資対象、とはならないわけですね。
収益バリュー投資は、資産バリュー投資以上に
企業についての分析力が問われると思います。
なお、資産バリューであれ、収益バリューであれ、
バリュー投資は基本的には数年といった長期目線になります。
なので、じっくりと投資に取り組んでみたい、
という方には良いかもしれません。
さて、ファンダメンタル分析に基づいた投資方法については、
とりあえずこの辺で終了します。